データで見る線維筋痛症


線維筋痛症について

線維筋痛症とは、近年存在が注目され始めた新しい疾患です。発症する原因は未だ特定されていませんが、早期発見・早期治療でよくなる方もたくさんいます。

そのためにも、この病気について正しい知識を持ち、医師とよく話し合い、治療方針を決め将来に希望を持って生活することが必要です。日本では2003年に厚生労働省が線維筋痛症研究班を設立し、病因と治療法を研究する努力がなされています。

研究班によると30-60才代の女性が圧倒的に多い疾患ですが、男性、子供やお年寄りにも同様の症状が見られる場合もあります。

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痛みから来る抑うつ気分にもなりますが「うつ病」ではありません。また、生命に関わる病気でもありません。そのため、痛みが改善されればうつ状態も良くなります。

治療中もよくなったり、悪くなったりを繰り返すこともありますが進行性の疾患ではありません。
線維筋痛症は痛みが全身に広がったり一部分になったりを繰り返しますが、必ずしも進行する疾患ではありませんのでその面では安心してください。

線維筋痛症の発症要因

痛みの発生の要因は、手術、外傷などの外的要因の他に、環境の変化、結婚、出産、離婚、死別など生活環境の変化に伴う内的要因の2つに分けられます。

痒痛発症の要因分析

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発症から診断までの期間

発症から3ヵ月~1年以内に診断されたのが約85%ですが、長期5~20年以上かかってようやく診断されたケースもあります。
症状があるけれど病気の原因が分からず、いくつもの病院を探しまわらないといけない傾向があります。
早期に正しい診断を受けることが、治療への第一歩となります。
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線維筋痛症の重症度(ステージ)分類試案

線維筋痛症といっても、人によって症状が異なります。
そのため、客観的評価法として、線維筋痛症の重症度分類(ステージ分類)が提案されています。

ステージ分類 臨床病像 頻度
ステージⅠ 米国リウマチ学会分類標準の18ヶ所の圧痛点のうち11ヶ所以上の痛みであるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない 44.0%
ステージⅡ 手先の指の末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難 31.0%
ステージⅢ 激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度、湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難 9.8%
ステージⅣ 痛みのために自力で身体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢でネたり座ったりできない。 9.1%
ステージⅤ 激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に障害がでる。通常の日常生活は不可能 6.1%
ステージ分類 臨床病像 頻度
ステージⅠ 米国リウマチ学会分類標準の18ヶ所の圧痛点のうち11ヶ所以上の痛みであるが、日常生活に重大な影響を及ぼさない 44.0%
ステージⅡ 手先の指の末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く。日常生活が困難 31.0%
ステージⅢ 激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度、湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる。自力での生活は困難 9.8%
ステージⅣ 痛みのために自力で身体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みで、長時間同じ姿勢で寝たり座ったりできない 9.1%
ステージⅤ 激しい全身の痛みとともに、膀胱や直腸の障害、口の渇き、目の乾燥、尿路感染など全身に障害がでる。通常の日常生活は不可能 6.1%

線維筋痛症の治療法

非薬物療法(精神科領域の観点から)

精神療法 医師や臨床心理士などのカウンセラーが、「言葉」を使って患者の心に直接働きかけ、患者の苦痛を取り除いていく治療法 睡眠問題、抑うつ、機能面、Catastrophize(些細なことを大惨事のように言う)に有効
認知行動療法
(Cognitive
behavioral
therapy:CBT)
不適応状態に関連する行動的、情緒的、認知的な問題を治療標的とし、学習理論をはじめとする行動科学の諸理論や行動変容の諸技法を用いて、不適応な反応を軽減するとともに、適応的な反応を学習させていく治療法 ・抑うつと痛みの自己評価に有効
・疲労感・睡眠・健康の質での有効性は認められない
経鼻的持続陽圧呼吸療法
(Nasal
continuous
positive
airway
pressure:n-CPAP)
何らかの原因で発生する気道閉塞に対して行う対症療法のひとつで、鼻マスクを利用して空気を送り込み、圧力をかけ、気道を閉じないようにする ・閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者さんにきわめて有効な治療法
・睡眠中に気道が閉じなくなるため、無呼吸や低呼吸による酸素不足が解消され、睡眠の質を向上させることができる
オペラント条件付け
行動療法
(Operant-behavioral
therapy:OBT)
適応行動の形成と確立を目指すもの 望ましい行動に対してその行動の生起率を高めるような正の強化子を随伴させるか、行動生起の際に嫌悪刺激が除去される方法をとる
不適応行動の抑制や除去を目指す治療手続き 望ましくない行動に対してそれを抑制するような負の強化子を与えるか、不適応行動を高める後続刺激を遮断することでで消去を行う
エデュケーション療法 エクササイズ教育法 リラクゼーションよりも改善したが、効果は8ヵ月後まで持続しないという報告がある
リラクセーション エリックソン法

睡眠療法

自主トレーニング群と比較すると有意義に疼痛と睡眠を改善した。
鎮痛をイメージした催眠療法が有効
電気痙撃療法
(Electroconvulsive
therapy:ECT)
頭部に通電することで人為的にてんかんと同様の電気活動を誘発する治療法 ・うつ病を合併している線維筋痛症には無効との報告があり、今後の研究が必要
・精神科専門療法のため精神科医による精査と慎重な判断が必要
反復磁気刺激療法
(repetitive
transcranial
magnetic stimulation:rTMS)
・rTMS研究の8割で有意に痛みを軽減するとの報告がある(※注1)
・保険適応外
・限られた施設のみで実施可能
経頭蓋直流電気刺激
(transcranial
direct current
stimulation
:tDCS)
・rDCS研究の100%で有意に痛みを軽減するとの報告がある
・保険適応外
・限られた施設のみで実施可能

注1)Marlow NM ,Bonilha HS.Short EB,Efficacy of Transcranial Direct Current Stimulation and Repetitive
Transcranial
Magnetic Stimulation for Treating Fibromyalgia Syndrome:A Systematic Review.Pain Pract.2012:13(2):131-145

:線維筋痛症の随伴症状・合併症に対して保険診療として認められているもの

(引用元:線維筋痛症診療ガイドライン〈2013〉線維筋痛症学会(著)  日本医事新報社

(参考サイト:線維筋痛症学会(http://jcfi.jp/

症例

症例 3
32歳女性 M様
既往歴など:偏頭痛, 生理痛
20代のころから偏頭痛やひどい生理痛に悩んでいました。年齢を重ねるごとに症状はひどくなり、痛み止めを飲んでどうにかごまかしていました。
4年前、肩から腰にかけての激しい痛みと、皮膚に軽く触れるだけで痛みあるので、帯状疱疹(たいじょうほうしん)かと思い皮膚科を受診しましたが治らず、内科・整形外科・神経内科など色々な病院にかかりました。
他の病院を受診するたびに、皮膚筋炎や慢性疲労症候群など別の病気ではないかと診断され、「これは病気ではない」「原因がわからない」と突き放されました。最近では激痛で起き上がることもできないような日があります。
症例 4
27歳女性 S様
既往歴など:生理痛, 子宮内膜症, 不眠, 関節痛
数年前、あまりにもひどい生理痛に婦人科を受診し、子宮内膜症と判明。
手術後、身体の疲れが取れなくなり、腕の痛みがひどく眠れなくなりました。
不眠に悩み、心療内科を受診しましたが薬の副作用もつらい中で、腕の関節を少しでも動かすと痛むようになり、触れただけでも痛いという状態になりました。
原因不明のため、内科を受診しましたが検査で異常は見つからず、医師には「おおげさだ」と言われ、関節の痛みがひどいため整形外科にも通院しましたが、リウマチだと診断されましたが検査結果は陰性でした。