雨とうつの関係について

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「恵みの雨」という言葉があるように、雨は地上の生命に潤いをもたらしてくれます。私たち人間も例外ではありません。
飲み水をはじめ、私たちもその恩恵に余すことなく与っています。ひとたび渇水となれば、雨を恋しく思うものです。
それでも、天気予報に傘マークが並ぶとどうしても憂うつな気分になってしまいます。最近は異常気象なのか、ゲリラ豪雨などによる災害も後を絶ちません。

日常生活をスムーズに営むためには、やはり雨よりは晴れの方が嬉しいものです。

雨とうつの関係について

雨の日は“うつ病”の状態にもよくない影響を与えるようです。そもそも“うつ病”は、季節など自然の変化を受けやすいことが知られていますが、雨の日は、雨雲によって日照が遮られること、湿度が高く不快指数が上がること、あるいは高気圧から低気圧への気圧の変化などが影響するのでしょうか。
ただでさえ気持ちが晴れない毎日を送る患者さんにとって、雨は増悪因子以外のなにものでもありません。実際に、「雨の日は調子が良くない」という訴えはよく耳にしますし、そのために仕事や学校に行けなくなってしまう方もいます。治療予約をキャンセルされる方も少なくありません。
もちろん、雨だからといって引きこもっているわけにはいきません。勤め人は職場に、学生は学校に足を運ばなければなりませんし、主婦も買い物に出なければ日常生活は回らなくなってしまいます。

そして、患者さんは、雨天を理由に通院や治療をキャンセルしてしまえば、余計に調子を崩すことにもなります。

雨の日でも、なんとか出掛ける方法を考えてみましょう。
ただし、急性期で、晴れの日ですら外出困難な状態にある場合は無理をする必要はありません。病状がいくらか安定し、天気がよければなんとか外出できているのに、雨の日にはそれができないという場合には、何かできることがありそうです。

普通に考えても、雨の日は煩わしいことばかりです。傘を差すと歩きにくい、服が濡れて靴が湿る、交通機関の運行が乱れる、湿度が上がってじめじめする…、雨の日に出歩かない理由ならいくらでも思いつくのではないでしょうか。

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しかし、“うつ病”の場合はそれだけでなく、そもそも外出が困難になる背景には“うつ病”特有の心の動きである“制止”の影響があるのです。

制止とは、何かをしなければいけないとき、あるいは何かをしようとしているときに、その動き出しにブレーキがかかる精神運動症状のことです。日常生活では、腰が重い、フットワークが悪いという経験です。
不思議なことに、動こうとすればするほど制止は強度を増します。
そのため、患者さんの内面では、動きたいのに動けない焦り、すなわち“焦燥”の亢進も起こっています。動かないといけないのに動けないという思いがまた自己嫌悪の種になったりするのです。

患者さんの多くは睡眠-覚醒リズムが乱れているので、そもそも寝起きが困難です。つまり、寝ている状態から起きている状態への移行がスムーズではありません。
なんとか目覚めたとしても、今度はベッドから這い出して、身体を横から縦に転位する動作がひと苦労です。
以降、朝食を摂る、シャワーを浴びる、歯を磨く、服を着替える、女性の場合には化粧をするといった朝の一連の行為の度に、このような制止に苛まれることになります。

極めつけは、家の外に出る瞬間です。
なんとか身支度を終え、鞄を抱え、靴を履いたというのに、玄関の扉の前に佇んでしまって、外に出ることがなかなかできなくなるのです。プライベートの自分からフォーマルな自分への切り替え、この変化に対する制止は非常に強く、この期に及んで外出を断念してしまう人も少なくありません。

以上のことから、制止というものが、いかに社会生活を大きく阻害する症状であるのかがよく分かると思います。

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ところが、出かけるのが難しいと訴える患者さんでも、「出てしまえばなんとかなるんですが…」と付言されることが少なくありません。ということは、本当に出かけられないほど不調ではないということです。

そういう方は、たとえ疲れるとしても、一端外出できたならば、目的地に赴き、用事を済ませ、帰宅することが可能なのです。

制止は持続的な症状ではなく、点で起こる症状です。
次の動作への始点さえクリアすれば、あとはなんとかなるものなのです。

そもそも、“うつ病”になると自信を喪失しているので、外的な刺激や日常生活上の課題を大きな負担に感じます。

これは相対的なもので、同様の刺激や課題を、健康なときは負担に思いません。健康なときには、意識することが無いくらいに、ごく普通に自分に自信を持っているからです。
制止の強度は、この刺激や課題の相対的な困難さと相関しているようです。

私たちを取り巻く社会に対してもまた、圧倒されるような感覚に襲われることになります。
おそらくかなり抽象化された社会ではありますが、自分の自信を喪失すればするほど、社会のパワーをより肥大して感じるようになるのです。

雨の日はなおさらそうです。晴れの日よりも何かと煩わしいことが増えているのですから、外出のハードルはより高く感じられるのです。当然、制止もさらに強くなるでしょう。
そこで、いくつか工夫をしてみましょう。子供だましのようなことかも知れませんが、何もしないよりはましです。

【1】形から入る

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何かを始めるときに形から入るという人は結構いるのではないでしょうか。
ジム通いやジョギングを始めるのにウェアやシューズを真新しく揃える人は少なくありません。そうすることで、なかなか高まらないモチベーションをなんとか持ち上げようというわけです。

それと同じように、お気に入りのレイングッズを準備しておくことで、雨の日を少しは楽しみにできるかもしれません。
傘やレインコートやレインブーツなど、最近ではさまざまなバリエーションがあります。お洒落や高性能にこだわることで、雨の日にそれを使ってみたいという思いも生まれるのではないでしょうか。

【2】部屋を明るくする

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雨の朝は、晴れの日と比べて部屋の中が薄暗くなります。夜ではないので、朝のうちに明かりを点けない人もいるでしょう。
特に、“うつ病”の人は急な強い刺激を回避する傾向にあるので、暗がりのまま身支度をしているのではないでしょうか。
そうであればなおさら、雨の日にこそ煌々と明かりを点けましょう。
明るさへの順応は早いので、光を強く感じる時間はほんのわずかです。
人工的な光ではありますが、晴れの日と同じ明るさを身体に与えましょう。

【3】刺激を与える

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心と身体の状態は環境との相互作用によって変化しますから、心身の覚醒度を上げるには、光刺激と同様、それ相応の刺激が必要です。
寝起きが悪く、身支度の間は半覚醒状態の人も少なくないでしょうが、そうすると、玄関の向こう側の刺激を相対的により強く感じてしまいます。
そうしないためにも、外出前に充分覚醒しておくことが必要です。熱いコーヒーやお茶を飲む等はそのひとつの手段です。
熱さは身体を目覚めさせる刺激になりますし、カフェインには覚醒効果があります。準備が億劫なら前の晩に用意しておきましょう。
さらに億劫かもしれませんが、熱いシャワーを浴びるのも効果的です。

【4】注意を他へ逸らす

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頭の中が「仕事に行かなければ」「学校に行かなければ」という観念に支配されていると、「行きたくない」という思いもどんどん強くなっていきます。
意識がその一点に集中してしまうため、外出に対する緊張や不安が高まるのです。
逆に言えば、そこに集中しなければ緊張や不安は高まらないわけで、外出を意識しないで外出の準備が整えばいうことはありません。

例えば、家を出る瞬間には、音楽を聴きつつ、頭の中で歌ったり、歌詞を追ったりしてみるとよいかもしれません。
ある意味、ブレーキをかけたがる自分の心にブレーキをかける材料を与えないで、自らを欺くのです。

【5】予定のアクセントを変える(楽しみを用意する)

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たとえ雨の日であっても仕事や学校の後に友人と会う約束があれば、休んでしまうことはないでしょう。
そういう日は、外出の目的のアクセントが仕事や学校よりも、楽しい予定に置かれているのです。制止は、仕事、学校、治療といった義務的な予定に対して強く働くようなので、雨の日こそ、それ以外の予定を追加してみるのはひとつの手段です。
人と会う約束が最も効果的ですが、それは疲れそうならば、買物程度の寄り道でも構いません。

美味しいランチや流行のスイーツを目当てになんとか出かけるようにしましょう。
“うつ病”になると、不快を招かないように生活をパターン化しやすく、その枠の中に安住してしまう傾向があります。

したがって、上記のようなパターンを脱する工夫こそが最も苦手なことかもしれません。
しかし、ある程度回復してからは、パターン化した生活を脱し、リハビリとして多種多様な刺激に晒されることが必要になります。

もちろん、個人個人で自分に合った工夫を考えてもらいたいものです。「出てしまえばなんとかなる」のですから、自分の身体を外に連れ出す目的のために可能な手段はなんでも試してみましょう。

色々と提案してきましたが、外出することが最終的な目的ではありません。実は、雨の日でもなんとか外出できたという実績作りこそが目的なのです。

外出自体は些細なことかもしれませんが、自力で困難に対処できたという経験には、大きな“治療効果”があります。日常生活において、そのような実績を積み重ねてくことで、“うつ病”によって失われた自信を回復することにつながるはずです。

「雨垂れ石を穿つ」ということば通りに、雨の日の小さな工夫の積み重ねがよいリハビリとなって、いつの間にか外出困難が克服されているかもしれません。それに、雨上がりの澄んだ空の気持ちよさは、雨天に外出しなければ経験できないものです。

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