慢性化したうつ病と双極性障害
bipolar02_img_05
慢性化したうつ病と双極性障害

昨今、「うつ病」についての情報はかなりたくさん出回っており、新型うつ病や現代型うつ病、双極性障害など言葉もたくさんあり混乱してしまっている方も多いのではないでしょうか?
急に「双極性障害(躁うつ病)」に診断が変わったけどピンとこない、長年薬を飲んできた、病院を色々と変えてきた、しかしその度に言われることが違う、いつになったら治るのか不安になられている方も多いかと思います。

とくに家族など周囲の方はそれ以上にストレスになっていることも少なくないのが現状です。
治療のためにはまず自分の状態について正しく理解することは大事なことです。それこそが治療の第一歩であるとも思います。
慢性の経過をたどっている患者様、ご家族にはそのためにも是非一度目を通していただけたら幸いです。少し難しい内容かもしれませんがなるべく簡単にまとめていますので参考にしていただければと思います。
bipolar02_img_03

director

うつ病の変遷

bipolar02_img_01かつて、うつ病は非常に単純に考えられていたように思われます。
真面目で几帳面で他人への配慮が行き届く、いわゆる「メランコリー型性格」と呼ばれる人がかかり、治療も安静にして励まさずに抗うつ薬を飲めば治るという構図でした。
背景では諸外国の精神医学者が、うつ病は「躁うつ病(双極性)」と「単一のうつ病(単極性)」と2つがあるという意見と、2つに分かれているのではなくどんなうつ病であっても「躁」としての成分が少なからずあるのだという意見を交わしてきたのです。
また「単極」か「双極」かだけではなく、メランコリー型の特徴に乏しく、(三環系)抗うつ薬や電気刺激療法に反応しにくい「非定型うつ病」についても議論されてきました。

今日注目されている「現代型うつ病」もこの非定型うつ病としての特徴を持っており、日本においても1977年には広瀬が先駆的な概念として「逃避型うつ病」を提唱していました。

単極性と双極性、そしてその中間に位置づけられる双極スペクトラム、非定型うつ病などうつ病の捉え方はかなり多様です。うつ病が変わってきたのか、症状の全貌がみえてきたのか定かではありませんが、治療も単一ではないのは確かだと思います。

真面目で几帳面で他人への配慮が行き届く「メランコリー型」から、対人関係への過敏さ・他人から拒絶されることへの過敏さを特徴とする「非定型」へと移ってきています。
非定型うつ病はその高い有病率が報告されつつあります。実際こちらが主流ではないかと思うほどです。

社交不安障害やパニック障害、摂食障害を合併しやすくまた高率に双極Ⅱ型障害を伴うことが指摘されています。この「躁(双極性)」成分を持つことが非常に厄介で「躁」と「うつ」の混合状態になると、激しい不安、焦燥、自殺衝動に駆られるのです。

bipolar02_img_03
非定形うつ病の診断基準

A気分反応性(現実の、または可能性のある楽しい出来事に反応して気分が明るくなる)

B次の特徴のうち2つ以上

①著名な体重増加または食欲の増加
②過眠
③鉛様の麻痺
④長時間にわたり対人関係の拒絶を起こす敏感さで、著しい社会的または職業的障害を引き起こしている

C同一エピソードの間にメランコリー型の特徴を伴うもの、または緊張病性の特徴を伴うものの基準を満たさない

うつ病相談・検査のご案内はこちら

「軽躁」と「双極Ⅱ型障害」

うつ病相に加えて、軽い躁病相がみられる気分障害を「双極Ⅱ型障害」といいます。前述のとおり非定型うつ病に合併することが多いです。
この疾患は、性格と病気の境目がわかりにくいところがあります。それ故、本人も医師に症状として告げていないこともあるため「躁」成分のない単極性のうつとして当初は治療されていることも多いのです。

例えば躁状態であれば、その損失的な事態によって事後に病識を持つ(あの時はおかしかったと思う)のに対し、軽躁状態は平常の状態に戻っても、本人がそれを病的だったと認めるのは難しいことが多いのです。そして軽躁状態というのは本人にとっては心地の良いものなのです。うつ病相のあとに軽躁の相がきたときにはうつが治ったと思い通院を中断することも見受けられます。

双極Ⅱ型障害は変化に富み、多彩な症状をみせますが、典型的な症状としては、うつ病相にあるときは何もやる気がなく、すべて投げやりになり死について考えだします。特に朝は調子が悪く体は鉛のように重く感じ、頭痛・肩こり・発汗・身体の痛みなど多彩な症状を伴い、それでも1か月のうちに1週間くらいはむしろきびきびと動きまわれて行動的になれる日がある、そんな自覚をしていることもあります。
動ける日と動けない日があり、それは睡眠がうまく取れていないからだと考えていることもあれば、興奮するような感じで眠れない、同時に些細なことで怒ることが増えていたりするかもしれません。周囲はそれに翻弄され、特に夫婦間ではいつのまにか離婚になっていることも少なくありません。
リストカットや過食、大量服薬に走ることもあります。これらは主に気分を鎮める、抑うつを抑えるために行われますが、時に気疲れに対しても行われます。気疲れの正体は「対人への過敏性」です。常に対人へのセンサーをはりめぐらせ、自分がどう思われているか、相手の気持ちを鋭く洞察し疲れ果ててしまう。その時にこれらの行動をとってしまうのです。

双極Ⅱ型障害は以下のような特徴を持っています

①不全性・・・精神運動抑制(思考や行動の抑制)は強いが気分はそれほど落ち込んでいない、または逆に気分は落ち込んでいるのに抑制は強くないなど「うつ病」としては「うつ」らしくない点があります。

②易変性・・・経過が変化に富み、数日単位で増悪と改善を繰り返したり、明確にうつと軽躁の相が分かれることなく混合状態(強い不安と焦燥、自殺を企図する状態)に陥ることもあります。易変性が厄介なのは、周囲からは(もしかしたら本人さえも?)、「わがまま」「気分屋」などと性格的問題として間違われやすいことです。さらにうつ相と軽躁相が分かれている場合には、調子の良い時に決めたことが後で負担になることがあります(急に英会話教室に通いだしたが、うつ相に入って負担になるなど)。

③部分性・・・抑うつの出現場面に選択性があることをいいます。例えば、週末は活動的になるが平日になると途端に調子を崩したり、職場ではうつ状態が強いが家に帰ると趣味などには取り組めるなど、周囲から見るとやはり「うつ」らしくない面があることです。

④不安・焦燥・・・これらは単極性うつ病でも見られますが、もっと強い印象です。焦燥は特にとげとげしさのあるような厳しい印象で出現し、そして不安はうつ症状よりも強いこともあります。焦燥は「躁」成分に由来し、不安もときにここに由来する場合もあり、躁由来のパワーからコントロール困難な状況になります。

バイオマーカー(生物学的指標)がないことへの不安

bipolar02_img_04
内科の疾患であれば問診だけでなく採血、レントゲンなど様々な検査結果を患者様と共有することができます。
話を聞いて「肺炎ですね」といって治療するより、肺雑音を聴診器で聞いて、レントゲンで肺炎を確認し、採血のデータで炎症の数値がこれだけ上がっていると確認しながら治療に進むほうが安心ですし、病気への理解が進みます。

この検査データのことをバイオマーカー(生物学的指標)といいます。
精神科では客観的な指標はほとんどなく、大部分を問診が占めます。医師への伝え方一つで病名が変わることがあり得ます。
問診だけで薬が処方され、薬が変わったり増えていくことに対して抵抗があるのはバイオマーカーを通して状態を共有できないことへの不安があると思います(なぜ薬が変わったのかわからない、自分はいったい何病なんだろう?)。

現在、精神科分野ではバイオマーカーになりうる検査(血液や脳波など)の研究が進んでいますが、その中でも光トポグラフィー検査は現在そこにもっとも近いかもしれません。これだけでうつ病かどうかわかるものではありませんが、診断の補助として少なくとも状態を共有できるツールにはなります。

main_bnr_02

多様化したうつ病をどう治療するか

「うつ病」といっても実際は多彩であり、少なくとも抗うつ薬を飲んでゆっくり休むだけでよくなる「うつ病」ばかりでないことはよくおわかりいただけたと思います。なかなか良くならない状態に対し、たくさんの種類の薬を併用していればよくなるものでもありません。

うつ病は従来考えられていた「メランコリー型」から「非メランコリー型」、「非定型」へシフトしてきています。そこに双極Ⅱ型障害が存在しているのです。

双極Ⅱ型障害の特徴は、前述した①不全性、②易変性、③部分性、④混合状態(不安・焦燥)で示される通り、症状は一貫せず、場面によって変わりやすく治療が困難な状況(場合によっては診断も困難で、性格要因が強いうつ状態とされているかもしれない)に陥っていることがあります。

そしてここに抗うつ薬(特に三環系抗うつ薬)を用いると場合によっては「病相の誘発(軽躁相とうつ相)の頻発」、「軽躁転(本人は治ったと思うかもしれませんがその後うつ相がおとずれます)」、「混合状態の誘発」など不利益を被ることもあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)も抗うつ薬ほどではありませんが、これらの状態の誘発を考慮しなければならないでしょう。基本的には気分安定薬が用いられます。

しかし、気分安定薬を飲んだからと言って簡単に症状が改善していくわけでもありません。特に双極Ⅱ型障害では病気と性格の境目がわからずどこまでが病気による症状なのかもわからないことも多いのです。

薬物療法が正しい、精神療法が正しいというよりは集学的治療が重要であると考えます。集学的とは、患者様本人がまず疾患に対してしっかり理解を深め、そこに薬物療法や精神療法、場合によっては磁気刺激(TMS)治療などをあわせて行っていくことです。

私たちは主に磁気刺激(TMS)治療を行っておりますが、TMSだけに頼るというよりは、カウンセリングも行いつつ経過を追っていきます。

そして疾患に対する理解(いったいどういう状態なのか)を患者様本人にも深めてもらえるよう努力しています。

main_bnr_02

初診・光トポグラフィー検査のご案内

ご予約・お問い合わせはこちら

0120-772-248

光トポグラフィー検査予約

ネットからは受付時間外でもご予約いただけます。

ご予約日時はお申込み完了時に確定しますので手続きがスムーズです。

※再診の方はお電話にてお問い合わせ下さい

  • うつ相談
    当院の専門カウンセラーがしっかりと時間をお取りし、無料でカウンセリング致します。
  • 資料請求
    磁気刺激治療や新宿ストレスクリニックの詳しい資料を、無料で進呈致します。

プライバシーポリシーについてはこちら

磁気刺激治療関連書籍


  • 治す! うつ病、最新治療 ─薬づけからの脱却─
    リーダーズノート
    定価1,400円+税

  • NHKスペシャル ここまで来た! うつ病治療
    宝島社
    定価1,333円+税

  • うつ病は軽症のうちに治す!
    PHP研究所
    定価1,200円+税

  • 受験うつ どう克服し、合格をつかむか
    光文社新書
    定価760円+税

  • 受験に勝利した親子が実践したストレス克服法
    ブックマン社
    定価1,400円+税